エリアマーケティングリサーチの立案手順

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エリアマーケティングまとめ

はじめに
 現在は、少子高齢化及び人口減少、実質賃金の減少などを背景に、多くの業界の市場規模は縮小傾向にあります。また、そのような状況においては、市場内でのシェアの競争が激化する状態となっています。
 このような状況渦において、企業が生き抜いていくためには、過度なシェアの争いに入るのではなく、利益を確保することを念頭に置かなければなりません。
 このためには、どういう販売方法で、どういう人たちに売ったら良いかという、有効で効率的な営業手法が必要となります。 そのような消費者のニーズをうまく生かし、有効で効率的な営業手法が、エリアマーケティングという営業手法になります。

エリアマーケティングとは
エリアマーケティングとは、消費者のニーズは、地域ごとに異なるという言う観点から、全国一律の販売方法ではなく地域差をつけ、経営戦略上重要な地域に絞ってマーケティングを行っていくことを言う考え方であり、「消費者の傾向・価値観や、競合他社の状況、地理的な特性を理解の上、製品・価格・プロモーション・販売チャネルの適切に組み合わせる」ことを目的としている。
 エリアマーケティングの取り組み種類としては、以下の3つがある。
1つ目は、エリア間の格差解消です。地域や特性や消費者のニーズや競合他社の状況に対応して、商品やサービス、価格、プロモーション、販売方法等の適切に組み合わせることによって、地域間の売上のばらつきをなくす目的の取り組みです。

2つ目は、売上の安定拡大です。
地域間の共通性を発見し、同一の販売手段(商品やサービス、価格、プロモーション、販売方法の組み合わせる)によって、効率的に消費者の獲得を目的とする取り組みです。

3つ目は、営業力の集中化です。
消費者のニーズや競合他社の状況に対応して、市場での自社のポジショニングを変更して、地域ごとに最も消費者を獲得しやすいように、ポジショニングを変え、そこに人・物・金の経営資源を集中させて営業活動を行おうとする取り組みです。

エリアマーケティング戦略
エリアマーケティングの戦略は、地域統制や需要と競争の状況に応じ、エリアごとに商品、価格、販売促進、販売時時期等の最適な組み合わせ策をとります。地域には自然や歴史に育まれた文化があり、その土地ならでは生活や社会が作られています。この土地独特の気質や、生活習慣は、消費需要に反映されます。エリアマーケティング戦略では、特に下記の項目に着目して、戦略を策定させます。

エリアマーケティング戦略の策定手順
エリアマーケティングの取り組み方は、地域統制や需要と競争の状況に応じ、エリアごとに商品、価格、販売促進、販売時時期等の最適な組み合わせ策をとります。地域には自然や歴史に育まれた文化があり、その土地ならでは生活や社会が作られています。この土地独特の気質や、生活習慣は需要に強い影響を及ぼします

■エリアマーケティング戦略立案の作業フローの全体像

経営戦略の把握
エリアマーケティング戦略の立案での一番初めのステップです。
営課題の中で、人材の確保が短期的・中期的に難しければ、エリアマーケティングに投下する人材も少なくし、エリアを集中して戦略を組まなければいけないし、財務戦略で資金を潤沢に持てるのであればエリアマーケティング戦略に投資できる資金も多くなるため、エリアを拡大してマーケティング戦略を立案できる可能性がある。
 経営理念やビジョン又はそれらからでる経営戦略や経営課題を知っておくことは、エリアマーケティングの方針を決定するにあたって必要がため、把握しておくことが重要である。

営業活動の現状を把握
営業活動の現状把握では、営業活動に関連することを漏れなく把握することです。
営業活動の現状把握では、下記の事を分析します。

顧客層の分析は、顧客の名簿や、販売実績データを分析し、企業や組織が自社の商品やサービスを購入する顧客の特性や行動パターンを理解するプロセスです。営業拠点の消費者層と、その消費者の想定されるニーズを洗い出して、機会を模索します。

重点地域と重点顧客その確認は、企業が自社の経営資源マーケティング活動をどの地域や顧客層に集中させるべきかを判断するための重要なプロセスです。
 実際に経営資源を投入している地域及び市場、販売活動と、実際の顧客層を確認します。

目標と実績の確認は、 売上、営業利益、シェア目標の目標と現在の実績を比較するプロセスです。
 どの項目で、目標よりも成績が上がっているか。または目標に達していないかを確認することで、自社のどの部分に問題があって、どの領域であればまだ成長見込みがあるかなどを発見することが出来ます。

営業施策の確認は、拠点別の営業活動について商品またはサービス、価格、プロモーション、販売場所について分析するプロセスです。

環境分析
環境分析では、企業の内部面及び外部面について、営業拠点を取り巻く環境変化をとらえるため、下記の作業を実施致します。

拠点の現状分析
市場規模と、競合他社のシェアを確認する。
需要の把握 
 マーケティングにおける需要とは、消費者のニーズとその総量の掛け算によります。業界のデータや自社の独自データ、官庁のデータなどの複数のデータを合わせて分析することで、需要を把握することができます。また、市場データが無い場合は、市場調査会社に依頼します。
競争の把握
 エリアでのシェア率や顧客の保有状況などから、自社の市場でのポジショニングを明らかにすることができます。また、ポジショニングを明らかにすることで、自社の経営資源をどこに集中すべきかも把握することができるため、経営戦略の策定において重要な分析となります。

市場での目標設定
拠点の現状分析から、自社の市場でのポジショニングを把握し、どのような目標を市場で立てるべきか検討します。価格を下げて、シェアのNo1を採ることが一番良い方法とは言えません。シェアを獲得しても赤字では、企業経営が行き詰ります。そのため、経営戦略・課題とも整合するように、市場目標を決定します。
リーダー:第一のシェアを気づく又は維持するために、すべての領域へ営業を行います。
チャレンジャー:シェアが第二の企業であり、第一を獲得するために、すべての領域への営業を維持しつつ、リーダーとの差別化が有効です。
ニッチャー:市場のシェアは高くないが、自社の独自性を有する企業で、特定のエリアでリーダーをする。
フォロワー:最下位の位地にいる企業は、まず生存領域の確保と、認知度の向上に経営資源を集中する。

重点エリアの設定
人員、設備、資金などの経営資源を特に集中して投下する重要市場を決定します。
 経営資源を圧倒的に保有しているエリアのNo.1の企業に対して、市場に満遍なく経営資源を投資しても負けるため、重点エリアに経営資源を投下しその市場ではNo1企業に勝る営業能力を作り出します。 その重点エリアの設定に関して、利用できるのがPPM分析です。
PPM分析(BCGマトリックス):「市場成長率」と「市場占有率」で企業が保有する製品やポートフォリオを分析し、事業のリソースを投入すべきか、撤退すべきかを判断する分析をいいます。
 花形(市場成長率:高、市場占有率:高):成長維持のために経営資源の投資が必要
 問題児(市場成長率:高、市場占有率:低):潜在的な成長を見極めつつ、大きな投資が必要
 金の生る木(市場成長率:低、市場占有率:高):安定した収益をもたらし、大きな追加投資は不要で、得た利益を他の分野に投資します。
 負け犬(市場成長率:低、市場占有率:低):撤退を検討する

強みと弱み
拠点の業績、成果を左右する自社の強みを弱みを洗い出す
 人的資源:従業員の人数や、経営・マネジメント・営業能力の有無などの人の能力に関する内容を分析します。資格や能力などを再確認し、組織の再構築などに役立てることができます。
 物的資源:工場や、建物などの有形の資産と、アプリケーションや特許などの無形の資産の有無や規模を分析します。有効活用できていない資源の売却や有効利用することができます。また、有効利用できていると思っていた資源が効果を発揮できていないことなども、把握できます。
 金銭的資源:短期的な支払能力や、長期的な設備投資能力などの分析を行います。多店舗展開していることが逆に、資金不足の要因となっていることもあるため、精査します。
 情報資源:顧客データや競合他社の情報、官庁データの分析をします。他社の比較することで、より自社の強みと弱みを見つけることができ、また外部データの保有の有無も自社の強みの1つとなります

機会と脅威
営業活動の新たなビジネスチャンスや追い風になる項目と、事業の課題や縮小、徹底を招く向かい風となる項目を洗い出す。
地域の交通:地域の道路の開通や閉鎖、大規模工場の移転、住宅地の増設などにより地域住民の増減の影響及び労働者の変動は、ビジネスチャンスや事業の縮小、撤退に大きく影響する
商業施設:ショッピングセンターや、大規模店舗の出店、商店街の衰退などは、地域の購買活動や購買意識の変化に大きく影響を及ぼし、ビジネスチャンスや事業の縮小、撤退に大きく影響する
地域経済:地域の有力企業の業績や、新規業態の出店、海外企業の出店なども、地域経済を活性化させ、地域消費者の活動を活発化させることから、ビジネスチャンスや事業の縮小、撤退に大きく影響する

課題の設定
課題の設定では、市場目標と現状との差を比較し、その原因を追究し、課題を設定します。

戦略形式の決定
戦略形式の決定では、上記で分析してきた事項をまとめ事業領域を設定します。
事業領域の設定の際には、「どこの誰に」、「何を」、「どのように」を明確にします。

「どこの誰に」:経営資源は限られているため、効果的かつ効率的な領域に経営資源を投下して、営業活動を行っていう必要があります。
 経営資源を集中させるためには、どこの誰にということを明確に絞っておく必要があります。

「何を」:消費者のニーズに合わせた適切な商品またはサービスを提供する必要があります。
 そのため、経営資源を投下する重点エリアに対応するニーズを絞り込み、どのような商品またはサービスを提供するのかを明確にします。

「どのように」:エリアで競合他社と争うには、競合他社の同様の販売活動を行うのではなく、独自の販売方法をとり、他者と差別化を図る必要があります。
 そのため、強み弱みをもとに他社と比較し、自社で行える独自の販売方法を確立します。

4Pの決定
事業領域を決定したあとは、「商品・サービス」「価格」「流通」「プロモーション」の具体的な領域での展開を決定します。

その他のマーケティングの種類
ここまでマーケティングの全体像を話してきたが、当然のことながら業界によっては戦略の中でより注力するべき戦略もあれば、そこまで注力すべきでない戦略もある。その他の主要なマーケティング戦略を記載してみるので、自社に合わせた戦略の立案を検討して頂ければと思います。

1つ目は、バスマーケティングです。
バスマーケティングとは、口コミや話題性を通じて商品やサービスの認知度を高めるマーケティング手法の一つです。ターゲットオーディエンスが自発的に情報を広めることによって、自然な形で宣伝効果を生み出すことを目指しています。
 「ユーザーがシェアしたくなるような魅力的で興味深い話題性のあるコンテンツ」「インフルエンサーを活用した、商品やサービスを紹介」「ユーザーが簡単に共有できる仕組みを作るバイラルキャンペーン」などを言います。
 バスマーケティングの成功には、ターゲットオーディエンスの心理や行動を深く理解し、自然に話題が広がるような戦略を練ることが重要です。

2つ目は、モバイルマーケティングです。
モバイルマーケティングとは、スマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイスを通じて、商品やサービスのプロモーションを行うマーケティング手法のことを指します。
 SMSマーケティング:高い開封率と即時性が特徴のショートメッセージを利用
 アプリマーケティング:アプリ内広告やプッシュ通知を活用し、ユーザーとのエンゲージメントを高める
 位置情報マーケティング:GPSやビーコン技術を活用して、ユーザーの現在地に基づいたパーソナライズドなオファーや情報を利用する
 モバイルマーケティングのメリットは、ユーザーとのインタラクションがリアルタイムで行えること、パーソナライズされた体験を提供しやすいこと、そして高いリーチとエンゲージメントが期待できることです。企業は、これらの戦略を効果的に活用することで、顧客との関係を深め、ブランドの認知度と売上を向上させることができます。

3つ目は、マスマーケティングです。
マスマーケティングとは、広範なターゲットオーディエンスに向けて、同じメッセージや商品を一斉に宣伝するマーケティング手法のことです。この手法は、大衆市場全体にアプローチし、できるだけ多くの消費者にリーチすることを目的としています。
 メディアの活用: テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、インターネットなどのマスメディアを活用して、広範囲にわたる宣伝を行います。
 標準化されたメッセージ: すべての消費者に対して同じメッセージを伝えるため、広告やプロモーションの内容は標準化されます。これにより、一貫性のあるブランドイメージを維持します。
 コスト効率: 大規模な広告キャンペーンを展開することで、単位あたりのコストを削減できるため、コスト効率が高くなる場合があります。大量の広告枠を一括で購入することもコスト削減につながります。

まとめ
ここまでエリアマーケティング戦略立案の具体的なとその進め方について記載してきました。ただ、一番大切なことは理論で終わらせないことで、実際に立案して実行することだと思っております。これを見て頂いた方々が、少しでもエリアマーケティング戦略の立案をスムーズに行って頂けること、また有効な戦略で、継続的なビジネスを行っていたけることを祈っております。